【取材】北海道のお歳暮の定番「新巻鮭」の空き箱で作ったウクレレ

【取材】北海道のお歳暮の定番「新巻鮭」の空き箱で作ったウクレレ
北海道のお歳暮の定番、新巻鮭(あらまきじゃけ)。
内臓を除いた鮭を塩で漬けた保存食で、長期保存に優れ、江戸時代から重宝されてきた北国の食文化です。
私の実家には、年末に北海道に住む親戚からよく新巻鮭が届きます。
一本まるまるの鮭を、祖母が慣れた手つきで捌く。それが我が家の“お決まり”の光景でした。
そんな北海道のソウルフード新巻鮭を輸送する際に使う木箱が、新たな形となり人々を驚かせています。
新巻鮭の箱から生まれた「シャケレレ」
北海道でギターやベースなどの修理、製作を行う工房Shikagawa Musical Instrumentsでは、鮭の箱を使ったウクレレ「シャケレレ」を製造、販売しています。
シャケレレ
「シャケレレ」を作ろうと思ったキッカケは、あるカバンとの出会いです。
そう語るのは、Shikagawa Musical Instrumentの鹿川慎也さん。
東京から故郷の北海道へUターンした時に、友人の紹介でGen&Co.(ゲンカンパニー)の村上智彦さんの工房に足を運びました。
そこで「Shake Bag(シャケバッグ)」を見て、かっこいい見た目に一目惚れし、また“あるものを活かす”というスタンスにも共感し、自分も何か作りたいと思いました。
新巻鮭の箱は、輸送が終わったら一部のものはそのまま破棄されてしまうもの。それをゲンカンパニーの村上さんが、仕事用のバッグとしてリメイクしたのが「シャケバッグ」です。
シャケバッグ
鮭の入れ物だった木箱が、新たな形となり命を吹き込まれたことに感動した鹿川さん。
ゲンカンパニーの村上さんとともに新巻鮭の箱を再利用する「ARAMAKI」というクリエイティブユニットを結成し、得意分野である弦楽器のクラフトに着手します。
素材の質感やサイズの制限などから、アコースティックで小さいものと考えウクレレを作ることにしました。
鮭の箱に使われているのは、北海道産のトドマツ。
新巻鮭からでる水分を適度に吸収し、鮮度を損なうことなく十数キロの重さに耐え、何段にも重ねて輸送できる優れた素材です。
通常のウクレレの素材と違うのは、柔らかいところ。また印字の圧倒的存在感も魅力です。
使用後廃棄される鮭の箱を回収し、いい音がしそうなものを選別。その後、塩抜きや乾燥をしてようやくウクレレの素材になります。
鮭の箱
海をわたる「シャケレレ」
「シャケレレ」を広めるため、鹿川さんはゲンカンパニー村上さんとともに、北海道内でツアーを開催。実物を持って道民にアピールをします。
まずは見た目に驚き、個性的な音も良いと言ってくださりました。あとは僕らのストーリーに共感したり、感銘を受けたという方もいました。
そして、次は東京、大阪へと場所を移し、さらにはフランス、オランダにも進出します。
北海道から離れるにつれて、新巻鮭の認知度が低くなり、そこから説明するのは少し苦労しました。
いろんな方々が「シャケレレ」のストーリーやバックグラウンドに興味をもってくれましたし、海外ではリメイクやアップリサイクルに関心が高いようで、第一印象で「それいいね!」と言ってくれました。
鮭の箱に馴染みのある道民だけでなく、北海道の食文化を知らない地域の人々の心も掴んだのです。
シャケレレの説明をする鹿川さん(写真右)
カッコイイもの作れそう!というワクワク感
クリエイティブユニット「ARAMAKI」は、「シャケレレ」や「シャケバッグ」「シャケカホン」などさまざまなプロダクトを製作しています。
鮭の箱を素材として使い続ける理由について、鹿川さんはこう語ります。
正直、今の僕らにとっては日常になりすぎて、鮭の箱が特別な素材だという認識はないに等しいです。しかし、Uターンをして鮭の箱に再会したときに「カッコイイもの作れそう!」というワクワク感があり、その熱量のままプロダクトを作り続けています。
応援してくれる仲間やファンの方も増えてきて、そういった後押しも原動力になっています。
4月28日(土)〜6月2日(土)までD&Department Hokkaidoにて個展を開催。新巻鮭の箱を使った新作もお披露目する予定だそうです。
捨てられるはずだったものに、新たな価値をつけて蘇らせた「シャケレレ」。
新巻鮭のように、北海道の“定番”になる日もそう遠くはないかもしれません。
Source: プレスリリース新着